不器用な指先

ナースステーションに、突然一人の看護婦がすごい形相で駆け込んで来た。

『さっき運ばれて来た城澤さんの容体が急変です!!』


えっ……

…城…澤…?


『今行きます!!』

そう言って私に背を向け、駆け出そうとする受付の看護婦に呼び掛ける。

『あっあの…城澤って…!』


まさかね

違うよね

苗字が同じなだけだよね…?

看護婦は駆け出した足を止め、それどころじゃないといった表情で振り返って言った。


『城澤透さんです!!』



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