不器用な指先

シロサワ…トオル…?


突き付けられた事実に

身体の機能が止まる。


しつこいくらいに頭の中でリフレインされる看護婦の声が、鈍く私の思考を奪っていった。


見たいものに上手く焦点を合わせられない。

頭の中がグラグラと揺れて、視界がグラグラと揺れて…吐きそうななった。


『ちょ…大丈夫ですか!?』


呆然と瞳を見開いたままの私に、看護婦が駆け寄る。

身体を支えられるその感覚すら、自分の身体に与えられたものではないような違和感を覚えた。


私はいまだ焦点を定められないままに、言葉を紡ぎ出す。


『…と…るは……』

『…え?』

私は急に意識を取り戻したかのように、看護婦の肩に飛び掛かった。

『透は……透はどこですか……!!』




感情と身体が分離する。
こんなにも自分が怯えている理由は、透の命が危ないからだけではないと分かっていた。

自らの罪が招いた事態だと

私は痛いほどに、分かっていた。



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