不器用な指先

ふと 足が止まる。


その私を振り返ることなく、二人の看護婦が駆け込んで行ったのは

――手術室だった。





『早く!急いで!』

『はい!』


さっきの二人ではない別の看護婦が、回線がたくさんが絡まった機械を血相を変えて運び込んでいく。

その機械が載せられた銀色のカウンターが、ガラガラと音を立てて扉の中に吸い込まれていこうとしたとき、一人の女性がその看護婦に飛び付いた。

< 49 / 75 >

この作品をシェア

pagetop