不器用な指先

『大丈夫だよ…透は…死んだりなんかしないから…』


死んだりなんか

しない



彼のその言葉が、逆に透に死ぬ可能性があることを明示しているようだった。

信一さんは、震える私を優しく抱き寄せる。

『大丈夫…透は君を置いていったりなんか…』






突然

手術室の

ランプが消えた。


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