不器用な指先
静かに開かれる
手術室の扉。
中から現れたのは、全身を緑色の衣に包み、マスクをした一人の医者だった。
身体を崩すようにして、透のお母さんは医者に駆け寄る。
お父さんも青ざめた顔で彼女の肩を抱きながら、医者の元へと向かった。
信一さんの胸に拳をぶつけたままの私。
足が
すくむ。
『先生っ…先生っ透は…っ!!息子は…!!』
金切り声のような悲痛の声で尋ねるお母さん。
医者は眉をひそめたまま、ゆっくりとマスクを外す。