少女王子さま 〜田舎娘に小鳥のワルツを〜
ピーシランクから北へ2日、馬車で走り続けると、その首都は見えてきた。
カルナーダ、この国のすべてが行き交う、中心の街。
「ミミさん、見えましたよ。」
ガタガタと揺れる馬車に、お尻が悲鳴をあげていた少女は、黒髪の青年の声にふと顔を上げた。
「………わあ!」
窓から顔を出したミミは、遠くに見えた大きな街に、歓喜の声を上げた。
「あれが、王都カルナーダだ。」
少年が街の名前を教えてくれたが、少女は目の前の景色に見とれて聞いていない。
「すごい……大きい!」
あの小さな村を出たことがない少女にとっては、すべての光景が初めてみるものだった。