少女王子さま 〜田舎娘に小鳥のワルツを〜
「……大丈夫か?」
「え?」
きょとんとする少女の頭を、少年がふわりと撫でた。
「…たんこぶ、出来てるだろ。」
「えっ?」
少女はびっくりして目を見開く。
触ってみると、たしかに後ろの方が少し膨らんでいた。
「ぜんぜん気がつかなかった。」
ミミがそう言うと、少年は眉を寄せながら、また優しく撫でてくれる。
「…昼間触ったときに気づいた。おまえ、すごい勢いでぶつかってたから。」
あ、心配してくれていたんだ。
漠然とそう思えた。
お昼はあんなに意地悪だったのに。
今も、顔は仏頂面だけど、この手の優しさは、心から心配してくれていると分かる。
「…ありがとう。」
この少年は、なんというか、本当に不器用らしい。
「あの、王子。」
「ん?」
「もう大丈夫…何ともないよ?」
ぴたりと手が止まる。
そして少しだけ赤くなる少年に、ミミは首を傾げた。
「…………ああ。」
少年はぱっと手を離し、何故か照れたようにそっぽを向く。