少女王子さま 〜田舎娘に小鳥のワルツを〜
「うふふ、順調に進んでるようですわね…。」
お茶菓子セットをカラカラと押しながら横にやって来た黒髪の侍女を横目で見ながら、エドゥアールはため息をついた。
「コレット、実はあの二人、最初からまったく進んでないんですよ……。」
青年の言葉に侍女は心外だとばかりに目を開く。
「あら、わたくしはダンスの事ではなくて、お二人の仲の事を呟いたのですわ。」
「え………。」
エドゥアールはぽかんと見返す。
コレットはにっこりと笑顔を返してから、部屋の真ん中にいる二人に視線をやった。
「わたくし、きっと素敵なことになる予感がいたしますの。」
エドゥアールもそれを追って視線を中心へやる。
その時ちょうど、「ぎゃっ!」と少年が声をあげたところだった。