蜂蜜色の魔法使いへ
静かな森へのお客さま
『アリメールの森には透明魔女が住んでいる。』――その町には、少し前からそんな噂が広がっていた。
この世界での魔女という存在は、そう珍しいものではない。
大抵魔女逹は町に住み着くと、そこで魔法の研究に勤しんだり、それこそ魔女の薬屋というものを営んでいる者もいる。
別に町の住人も魔女を毛嫌いするわけでもなく、魔法の薬はそれは効果バツグンなので、逆にみんなに好かれるほどの魔女もいた。
――そんな世の中、ここアリメールにも数年前に魔女が移り住んで来たらしい。
しかし誰も、その姿を見たものはいなかった。
だから、『透明魔女』なのだ――。