魚と青年
宇宙人トドウキョ
 同居生活に入って分かった事だが、魚の宇宙人はマメな性格で、器用なことが判明。

これは意外だった。

僕自身、あんな鰭で何が出来るのか、って思っていたからね。

ところがあの鰭は僕の思った以上に動かしたり物を掴んだりする事が可能だった。

故に、僕は魚の宇宙人が来てからというもの、おいしい手料理というものにありつく事ができたんだ……。

ただ不満があるとすれば、魚の宇宙人の得意な料理が魚料理だという事だ。

魚の宇宙人を前にして、魚料理を口にするのは何とも気まずいというか、申し訳ないと言うか、心から味わう事が出来ない。

そこのところの複雑な感情というのを魚の宇宙人は理解できないらしい。

それは星の違いからくる感覚の違いか、それとも魚の宇宙人の性格がそういった事に頓着しないものなのか、迷うところだ。

 朝っぱらから、卓袱台に豪快に並べられた十種類のオカズ。

「なぁ、聞きたいんだけどさ」

 僕はずっと気になっていたことを口にする事にした。

「何じゃ?」

「食材はいったいどうやって調達してくるんだ?」

 魚の宇宙人が買い物などにいけるはずがない。

お金もないだろうし、魚が買い物なんかに出掛けたら町中パニックだろう。
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