白-しろ-
「…優袮。」
「はい。」
静かに、神様は私の新しいなまえを呼んだ。
「我が真名を教えよう。未だに、少しの人間にしか教えたことはない。」
「…………なぜ、私に?」
そう言うと、神様は少し微笑んで、
「…特に理由は無い。
我が真名はイアル。出来れば、忘れてほしくないが、仕方ないな」
「イアル様…?」
「イアルでよい。九菜」
しばらく自嘲ぎみに笑うイアルを見つめていると、イアルは金髪を遊ばせながら
「行け。九菜」
「………はい」
踵を返し、現れた扉に向かう。
うしろでイアルが何かを呟いたようだったが、私には聞こえなかった。
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