~Snow White~『ニ巻』
父の告別式が終わり
再び斎場に戻ってきたのは
夕方だった。


このあとも葬儀があり
利香はクタクタになっていた。


霊柩車で稔と一緒になるのが
ストレスだった。
母がウトウトするたびに稔は
利香を見つめては
目が合うと優しく微笑む。


 うそつき


優しいまなざしは妹を見てるんじゃない
女の自分を見ているんだ


兄と慕っていた
あの頃は、兄を尊敬していた。
あんなことにならなきゃ
今も利香は稔を兄として見られたのに


利香は目が合うと外を見た・・・


斎場に入ってきた車から
一瞬人が見えた


 え?りゅ・・・?


幻?振り返ったけれど
もう見えなかった・・・・・


会いたくて幻をみたんだ・・・・


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