~Snow White~『ニ巻』
「かたづけは大人のあなたの仕事です。
高校生には勉学の方が
大事ですから、いいですか?」



「大柴くん?って言ったね。
家族にはいろいろ事情があるんだ。
利香もわかるだろう?」


利香は洋平の手をとった。


「テストも近いの。
私は向こうで暮らすから。」



「おまえは、こっちに戻す。」



「勝手なこと言わないで。
なんの権限があってそんなこと
言うの?絶対戻らないから。」



体が震える利香は
歯もガタガタ鳴りだした。


「利香、わがままなことを言うな。
おまえも大槻の娘だ。」
稔は常識人の顔をして
もっともらしく怒鳴った。


「大槻の家はいりません。
あなたの家です・・・・・。
あなたが勝手にやっていけばいいわ。」


稔の顔が切なげになった。


「利香、わがままを言わないで…
家族はそばにいて支え合わないと。」


利香のわがままさを
アピールした。
< 113 / 351 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop