~Snow White~『ニ巻』
「利香と僕は将来を約束してます。
ここから出されても
僕が利香を支えますから
安心して下さい。
あなたは、今のあなたの顔を鏡で見て下さい。
兄の顔ではありません。
男の顔です。」


会場がざわついた。


稔の顔が硬直した。


稔のそばにスーツの男が近づいた。



「この場であまりもめるのは
まずいです。
株主もたくさんいますし・・・
次に待たれてるのも株主の方です…」

慌てたように耳打ちした。




「大柴くん・・・・
若さは、時に暴走しがちだよ。
利香が欲しければもう少し大人に
なりなさい。
利香もわがままをとおしたければ
順序というものがあるよね。
時と場所を考えなさい。
他の方に失礼だからもう行きなさい。」


大人の対応に変わった。


「申し訳ありませんでした。」

洋平は頭を下げて
利香の手をとって歩き出した。


「申し訳ありません。
妹は反抗期で……難しい時期なんで
両親も手を焼いて
それで札幌に出したんです。
見苦しいところをお見せして…」

稔はわざとに大きな声でそう言った。
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