~Snow White~『ニ巻』
「今日のこと、誰にも言わないで。」


利香はすがるような目をした。


「あのね……
とくに竜平くんには……」


 は?


「どういう意味で?」


利香は頬を桜色に染めて
恥ずかしそうにしていた。


「あいつのこと好きなの?」
洋平が言うと


美しい笑顔で
にっこりとほほ笑んだ。


その瞬間、洋平の心臓もドキンとした。
それは今まで感じたことのない
気持ちだった。


「うん。一緒にいることが多くて
恋してしまったみたい。」


「あいつに?
あいつには恋なんて無縁だぞ。」


「うん、わかる。
だからいいの。
心が汚れてないから……
竜平くんといると自分が洗われていくのが
分かるの……
片想いって感じ。」


 またあいつに…負けるのか


洋平の恋心はこの段階で撃沈した。
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