~Snow White~『ニ巻』
夏絵の声が聞こえるわけはない

だけど今まさに
利香を裏切ろうとしていた
自分に冷や汗が流れた。



「どうしたの?」


「あ、いや・・・・
帰ってきたら電話して。」



「あ…うん…」



「じゃあ…」



利香の声が怖くて聞けなかった。
受話器に目があったら
そう考えられて怖くなった。



「なつ・・・」


「ごめんなさい。
私ったら・・・本当にごめん。
帰るわ・・・」


眠っている智久の毛布をはいだ。



「トモ寝てるじゃん、
まだ起こすなよ。」


竜平は慌てた。


「だって…いいこと言って
恥ずかしい・・・・」


夏絵の手を引いたら
泣き顔だった。


「彼女にならなくていいって
言ったのに・・・・」



愛しさがこみあげてきた。



また夏絵を引き戻す・・・・・

 ごめん利香・・・・
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