~Snow White~『ニ巻』
「いいさ、今はそれでも……
俺もさ、正直仕事が楽しくてさ
若くして社長なんてやると
親の七光りだとかバカにするやつが
いるから、そいつらを見返してやりたい。
だから今はおまえに固執してる
時間はないんだ。
人間として経営者として今が
努力の時期だと思うからさ。」


利香の手首にキスをした。


「だからいいよ、今は解放してやる。
だけどおまえは籠の鳥だから
俺が呼べば帰ってくる・・・・」


「絶対に帰らないし!!」


「絶対、日本を代表する
経営者になってやるんだ。
それまでは、自由に飛んで来い。
俺のそばの居心地がどんなにいいか
きっとわかるさ。」


そう言うと酒を一気に流し込んだ。


「残すと失礼だぞ。
食べるぞ。」

そう言って箸を渡した。


魅力のある人間だと思う。
話し方、経験、考え方
稔の話には人を引き付ける力がある。
それが話し方なのか
真っ黒な顔から見える白い歯なのか
女の人だってほっとかないだろう


「どうして私なの?
それは恨みだから?
あなたなら女優さんだってアイドルだって
その気になればおとせるわ。」

利香は恐る恐る聞いた。
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