~Snow White~『ニ巻』
気が気じゃなかった。

三人が入って行ったのを
隠れるように見守った。


しかしそうはいかなかった。


先に歩いて行った父親と
少し後を歩く竜平が
トイレを過ぎた瞬間に
稔が出てきた。


洋平は足早に通り過ぎようとした
瞬間に


「大柴くん。」
稔が気がついて声をかけた。


竜平も後を振り返った。


「久しぶりだね
先日は、東京まで葬儀に参列してくれて
ありがとう。
これから懇談かい?
利香も今、終わったとこなんだ。
先生から言われたよ
理想のカップルだってね?
それに君はとても優秀だって・・・・」



「あいや…そんなことは…
すみません、急いでますから……」
洋平もさすがに動揺していた。


竜平の顔も怪訝な表情に変わった。


その竜平に
稔が気づいた。



「あれ?あれ?
洋平くんは双子なのかい?」



「あ…はい……」


「挨拶しなくちゃ。」



竜平の前に稔が立ちはだかった。


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