～Snow White～『ニ巻』

「話がある」

そう言われて利香が家にやってきた。

竜平は疑惑を追及したいと思ったが
反対に夏絵のことで
追及せずにいる利香からの
攻撃を恐れて
何もいえなかった。

反対に利香もそう思っていた。


「あのね・・・・
進路のことなんだけど・・・・・」



「うん」
ホッとした。



「就職に決めたの。
昨日履歴書を出したから・・・・
大学には行けないわ。」
利香が小さな声で言った。



「なんで？」



「兄から早く独立したいの。
兄の恩恵を受けて大学に行きたくない。」



「わかるけど・・・・
どうしてもっと早く言わなかった？」


「決めたのは
最近なの・・・・・・」



「俺って頼りないのか？
事後報告だろ？」



「竜に話したら一緒に大学に
行きたくなるから。
決心を鈍らせたくなかったの。」


「俺はおまえのなに？」
たまらなくなって竜平は声を
荒げた。