~Snow White~『ニ巻』
「利香の家って大槻建設だったんだ。
どうしてだまってた?」


「まさかこんなことになるなんて
思ってなかったから。
私はあの家が嫌いだったから
話すこともないって思ってた……」



「父が落胆してた。
裏切られた気分だ、俺も父も・・・・」



「そんなつもりじゃなかったの。
兄とのいきさつは知ってるでしょう?
だから縁を切りたかった
だから進学をやめて就職にしたの。
もうすぐ完全に兄からの援助から
解放されるって・・・・・」



「甘いよな。」



「え?」



「本当に解放されたいなら
そんな甘いことしてない。
高校から必死にバイトしたりして
自立の道を探すけど
おまえはそう言いながら、今はいいか~
って過ごしてきたんだろ?」

夏絵の姿がちらついたら
利香の本音が適当に聞こえた。



「そんな・・・・・」



「洋平にはなんでも話してるんだ。
あいつがおまえのこと好きなのも
知ってるんだろう?」



「私に対して
一生懸命だから……
でも気持ちを押しつけられたり
強要することはなかったわ。
洋平は兄から私を守ってくれた
それだけだから・・・・・」



「俺の立場は?
俺は利香を守らなくてよかったのか?」


竜平の矢のような質問が飛ぶ。
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