~Snow White~『ニ巻』
「時がきっと解決するよ。
まだ傷が癒えてないんだ。
もう少し……時間がかかるんだよ。」


「兄が動き出したわ……
あれから怖くて……
眠れなかった……私が竜ちゃんを好きでいると
兄は何をするかわからない……」

言葉がろれつを失った。


「俺がいるから安心して
少し眠りな・・・・・・」


「よ…う…ごめん……ね……」


眠りにひっぱられるように
利香は寝息をたてた。


洋平は利香が哀れで仕方がなかった。



「かわいそうだな・・・
利香はこんなに美しいのに
全然幸せじゃない・・・・・。
おまえの愛する人は
おまえを裏切ってるのに・・・・
おまえは・・・
竜に罪悪感で押しつぶされてる・・・」



洋平の言葉を隣の部屋で
竜平が聞いていた。



「俺ならおまえをずっと待つのに……
一生抱けなくても
こうして抱きしめるだけでもいいのに……
俺はおまえを裏切らない…
もがき苦しんでいるおまえの
変わりに他の女を抱かないから……
俺の気持ちに気づいてほしい……」

洋平の嗚咽が響いた・・・・・
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