~Snow White~『ニ巻』
「俺じゃだめなのか?
同じ顔をしてるだろ?」


洋平が声を絞り出すように言った。



「洋・・・・・」



「俺はおまえをずっと愛してきた。
竜平の変わりでもいい。
こうして俺が会えたのもきっと運命だろ?」



「そんなこと・・・」



「竜には家族がいる。
あいつは、夏絵を愛してる。
たぶん同じくらい、夏絵を愛しいと思ってる。
だから絶対、別れないよ。
おまえはそれでもいいのか?」



「いいとは思ってないよ。
最低だって思ってる。」



「さびしいだろ?」



「やめてよ・・・洋ちゃん・・・」



「自分だけ愛してほしいだろ?」


利香の目から涙がこぼれた。


「俺は、おまえだけ愛してやれる。
竜の代わりでもいいんだ。」

夏絵の手を握りしめた。
< 257 / 351 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop