~Snow White~『ニ巻』
女の子は大声で泣いていた。
店員が名前を聞いても


「~ちぃちゃん」が聞き取れるだけだった。


女の子の声がこだまする。
泣きすぎて息が何度も止まりそうになって
店員もお手上げだった。



結局、服装と年格好とちーちゃんだけで
放送した。



利香はまた女の子の前に進んだ。


「大丈夫、ママたちきっと
迎えにくるからね。」


女の子の涙をハンカチで拭いてあげた。


店員は
「申し訳ございません
すぐ戻りますので・・・・。」
そう言ってもうひとりの連れられてきた
迷子の方にかかっていた。


女の子は利香の手を握った。



「ちーちゃんは何が好き?」


嗚咽に交じって
「ママの八宝菜」と言った。


「ママお料理上手なのね」

ちーちゃんは、大きくうなづいた。


「あのね…おとーたまのね…
ビーフシチューも…ヒック…ヒック…
おいちーよ。」
ちーちゃんは嗚咽を交えながら
そう言った。



「ま~ビーフシチュー?
おねえさん食べたことないな~」

大げさに驚くと


「こんど…来て…
おとーたまに言うから……」


ちーちゃんはニッコリ笑った。
< 259 / 351 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop