~Snow White~『ニ巻』
しばらくして
バタバタと走ってくる音がした。


「すみません、大柴です。」


利香はドキンとした。
恐る恐る顔を出すと
今にも泣きだしそうな顔をした
竜平がカウンターにいた。


「おとーたま!!!
うわ~~~ん!!」

ちーちゃんが竜平に抱きついた。


「探したよ・・・・
おとうさんもう・・・心配で死ぬかと思ったよ。
もう一人で行っちゃだめだぞ。」


そう言ってちーちゃんを
抱きしめた。


ちーちゃんの嗚咽に

「もう、大丈夫だよ。
おとうさんがいるからね。」

竜平の目は涙で潤んでいた。



少し遅れて
「ちーちゃん!!」と声がした。


利香は息をのんだ。


小学生くらいの子を
二人連れてきた女の人のお腹がふっくらしていた。



「ママ~~~ぁ~~」



女の人は泣きながら
ちーちゃんを抱きしめた。


竜平はその肩を優しく抱き寄せた。
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