~Snow White~『ニ巻』
「おまえこそ
俺の大事なものを影から
取ろうと機会をうかがっていただろ?
嫌な目をしてる。
高校の時だって俺の目を盗んで
おまえは利香にちょっかいを出していただろ?」



「おまえが利香の他の女を
好きになったからだろ?
気がつかなかったんだよ。
そっちに気をとられて利香の苦しみが……」
洋平の言葉に


竜平は黙った。



「竜ちゃん………
無理しないで………
家族のところに帰ってあげて……
私は大丈夫、洋ちゃんがいる。
それから…もうすぐ母になるの……。」


利香の声にハッとしたように
竜平が顔をあげた。


「神様のプレゼントなの。
洋ちゃんと結ばれるように
この子を授けてくれた。
だからわかったの。
私の本当に大事にする人は
あなたじゃない
洋ちゃんなんだって………
辛い時いつもいてくれた。
一番心配してくれた。
見返りもないのにただいつも
強く抱きしめてくれていた。
涙を・・・・ぬぐって
笑顔にしてくれた・・・・・・。
竜には未練を愛と勘違いしてたのかも
知れないわ。」



竜平の手のひらを頬で感じた。


パシ・・・

乾いた音が公園に響く・・・・・


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