~Snow White~『ニ巻』
「仕事が残ってるってさ
これのことなんだ。」

火照った頬の利香に
家の模型を見せた。


「うわ~何これ?」
利香は大きな声をあげた。


「俺らの家さ。」

利香は丸い目をしていた。


自分が設計した家なこと
小さいけど
利香の好きなバラ園をつくること
バラを見ながら
子供とブランコができること


「家の色は利香が考えていいよ。
好きな色にするから。
ここで俺達、家族を持とう。
そしてさ、じいさん、ばあさんに
一緒になっていこうよ。」

利香の目から涙が零れ落ちた。


「ごめんなさい……。
助けてくれてありがとう……。
私を幸せにしてくれてありがとう……。
洋ちゃんのそばで
洋ちゃんのために生きて行くから。
こんな私だけど…チビともども
よろしくお願いします。」


「こんな利香を愛することを
誓います。」


洋平は利香の左手をとって
薬指に指輪をはめた。


「俺にもはめて。」
そう言うと利香にもう一つ
指輪を渡した。


利香はおどろきを隠せないまま
洋平の指に指輪をはめた。


「ずっと最後の時まで
一緒にいような。」


洋平に抱きしめられて
利香はまたしばらく涙が止まらなかった。
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