~Snow White~『ニ巻』
 兄が生きている間は
 解放されない・・・



「愛してる。
おまえは俺だけのものだ。」



「あなたのものじゃない……」



「俺が生きている間は
おまえも雪湖も俺のものだ。」




「雪湖?」



「小さい頃のおまえと同じ顔をしてる。
雪湖をそばにおいて
おまえのこと思いだせる。」


稔が肩を震わせて笑った。


その時携帯が鳴った。
稔はしぶしぶ体を起した。


「俺は休みだって言っただろう?
三日間、おまえらで会社を守れ。
電話してくるなよ。
せっかくのプライベートな時間だからな。」


そう言って電話を切った。


「今日から家に返さないからな。」
稔はそう言ってまた
利香に覆いかぶさった。


雪湖まで巻き込むのか・・・・


そう思ったらもう限界だと知った。
雪湖は利香の命だった。
愛する人との結晶を
絶対汚すことは許さない・・・・・


抵抗をしないふりをして
灰皿を握りしめた。
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