~Snow White~『ニ巻』
第十四章
稔は、そんなことに気づきもせずに
利香に夢中になっていた。


 あんたさえいなくなれば……


耐熱ガラスの大きな
灰皿は重たかった。


やっと稔の頭上まで持ち上げると
重さで勢いがついて
思いっきり後頭部を殴りつけた。



「う………」

稔が利香の目を一瞬見た。


「利香・・・・」
そしてそのまま利香の体に
覆いかぶさった。


必死で稔を押して
ベットに横たえた。



後頭部からは血が出ていた。


血を見た瞬間
体が震えだした。


「おにいちゃん・・・・?
おにいちゃん・・・・・」


利香は稔の体を揺さぶった。
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