～Snow White～『ニ巻』

「利香？」


洋平が抱き上げた。


「さっきまでホテルにいたの……
兄がお金を貸してやるって言ったから。
たぶんその引き換えだと思ってた。
もう今日から、洋平には
返さないって言われたの……。
洋平がそれで救われるなら
それでもいいって
だけどね……雪湖まで自分のものに
しようとしてるのを知ったから……
雪湖に…あんな思いさせるのは
絶対、絶対許さない。
雪湖にだけは……
愛する人だけの体でいてほしい……
だから………
兄を殺したの……」



「利香・・・・・・」



「兄のせいで私は幸せになれない。
洋ちゃんとの幸せを兄が奪った。
私と出会ったことで
洋ちゃんの人生めちゃくちゃ……
ごめんなさい………
自首するわ。
だから最後にあそこに……
三人で行きたい。
雪湖の笑顔を見たいの。」



洋平が声をあげて
利香を抱きしめた。


「ごめん、俺がいつまでも
竜平に対抗しようって急いでて
慎重さも理性も欠けていた。
俺のせいだ……。
ごめんな………。」



「謝らないで。
私のせいだもん・・・・
洋平が救ってくれてやり直せた。
幸せだった・・・・。
だからただあの日に戻るだけ・・・」


洋平が顔を見つめた。


「死ぬ……つもりか？」