~Snow White~『ニ巻』
ランドセルをもらって
雪湖は喜んだ。


希望に満ちた笑顔に
このランドセル背負う雪湖が
見られないと
利香はこの笑顔をしっかりと
目に焼き付けていた。



18歳になったら
母の気持ちを知って
雪湖はどう思うだろう。


憎んでる?母恋しくて
毎日泣き過ごしている姿を
想像しては胸が激しく痛んだ。


その時まで
なぜ、自分は置いて行かれたのか
きっと恨むことだろう。


「可愛い雪湖・・・・
どうか幸せに・・・・
愛する人だけに染められる
人生でありますように
ママのような道を歩きませんように」


雪湖を挟んで布団に入った。
洋平と二人で
雪湖を抱きしめた。



「キャ~ッ」

雪湖が笑った。

二人でこちょこちょと
こちょばすと
楽しそうに声をあげていた。


しばらくして
ウトウトし始める雪湖に
最後の言葉を伝えた。


「かわいい雪湖……
雪湖はきっと誰よりも美しく
幸せな娘になりますように。
美しい心を持って
誰にも汚されない白い色で
愛する人に出会えますように……
辛いことがあっても
絶対負けませんように……
絶対幸せになりますように……」

我慢していたけど
最後は涙で声が震えた・・・・。


同時に雪湖は眠りに落ちた。
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