~Snow White~『ニ巻』
フロントには、幸い誰もいなかった。

カギを少し影のところに
隠して


駐車場に向かって車に乗り込んだ。


利香との右手と洋平の左手を
しっかりしばりつけた。


「運転しずらいな~
利香も疲れるだろ?」

利香は首を振った。


「洋平とずっと一緒だから・・・・」


真っ暗い山道を走る。

「クマでそうね。」


「うん、絶対出るよ。」



「クマに会うのは・・・
やっぱり嫌かな~」



本当に真っ暗な道だった。



「雪湖寝てるかな。」


「あの子は、寝たら起きないから
太陽が出るまで楽しい夢の中ね。」




「利香・・・」


崖の切り立った険しい山道にかかった時
洋平が利香の名前を呼んだ。


「雪湖・・・・ごめんね・・・・」


車のスピードを最高にあげて
二人は最後のキスを交わしながら
ガードレールをぶち破り




宙に飛び出した・・・・・。






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