～Snow White～『ニ巻』

中絶した・・・・・。

どんなに望まない子供であっても
ここに芽生えた命を
つみとるという
利香の胸は罪悪感でいっぱいだった。


エコーで見た
最後の姿を目に焼き付けて


「ごめんね・・・」


そう言いながら手術は終わった。


父は早急に私を
ここから解放する手配をした。


「おとうさんの信頼する人が
北海道に住んでいる。
そこにお願いしようと思う
いいかい？」


「はい」


父の謝罪は早く利香を稔の縛りから
解放したい
それだけだった。


学生寮を経営しているという
父の友人に会いに行った。


六畳一間でいままでの半分しか
なかったけれど
私にとっては
稔から解放される天国のようだった。


洋服だけを持って
逃げるように引っ越ししてきた。
周りは女子大生ばかりだったが
特例の中学生の利香を歓迎してくれた。


　あたらしい人生が
　始まる・・・・・


一か月間の旅行を終えて
稔が帰ってきたら・・・・・
そう思うと利香の体が震えた。


　どうか見つかりませんように・・・