~Snow White~『ニ巻』
「お待たせいたしました。」

さっきのおばさんより
百倍感じのいい声で
中から人が出てきた。


「すいませんね、もう終わりなのに。」
一応そう声をかけた。

「いいえ、営業時間内です。
気になさらないでください。」

そう言った店員と目が合った。


「あ・・・・・」



「あ・・・・・」


吉沢 夏絵 だった。



「あ・・・・あれ・・・・
うちの学校、まずいよ、バイト・・・」
竜平は言った。


「すみません。内緒にしてください。」
夏絵は慌てている。



「忙しいってバイトしてて?」



「ま…そんなとこです…
だけど言わないでください。
停学になんかなったらおしまいなんです。
ここにも無理いって働かせて
もらっているから。
迷惑かけたくないんです。」

必死に竜平に頭を下げた。
< 68 / 351 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop