~Snow White~『ニ巻』
「自分の家があるって
せまくてもひろくてもいいことです。」

夏絵は笑った。



「ここでいいよ、ありがとう。」
竜平はそう言って
夏絵の傘から飛び出して

「気をつけて帰れよ。」
と手を振った。


夏絵も大きく手を振って
保育園に入って行った。



階段の踊り場から
保育園を見た。


弟をおぶって
コートをはおった夏絵が玄関に見えた。


雨の勢いはおさまらない。
弟を振り返って
何かを言っている。


明るい電気の下で
夏絵は優しい顔で弟に話しかけていた。


 大変だな・・・・
こんな雨の中弟を連れて歩く
夏絵と弟が可哀そうだった。
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