ほしいもの


...*



「はい、約束だったからね」


お父さんに手渡されたのは、私がずっとほしかった携帯電話。


中学生のころからお願いしていて、『高校1年の誕生日に買ってあげる』と言われ、待ち続けたこの3年間。


やっと、やっと、ケータイを手に入れることができた。


「ありがとうっ!!」


お礼を言うと、すぐに自分の部屋に行く。


説明書とにらめっこしながら、ボタンをいじっていく。

前々から友達にもらっていたメールアドレスをアドレス帳に入れて、用もなく電話したり。初めて触る“自分のケータイ”というものは、不思議な感じがした。




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