手のひらの終焉

「なぜ、やらなかった?」

謁見の間とでもいうのだろうか。

だだっ広い部屋に、

がっしりとした造りの椅子がぽつんと置かれてある。

その椅子もただの椅子じゃなく、

広い背もたれやゆったりした肘掛は金色に輝いている。

金メッキではなく、全身純金で出来ていると噂のある椅子だった。

おまけに足や背もたれの縁取りには、さまざまな色の宝石が埋め込まれてある。

何十カラットとあるであろうエメラルド、ルビー、

サファイア、ダイヤモンド。

そういうものが埋め込まれてある。

どの宝石も、その特徴とする最高の色を放って。

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