手のひらの終焉
悪趣味というか。

“謁見の間”には必ずこの黄金の椅子が置かれてあるのだ。
 
そのイスにゆったり足を組んで座りその膝に肘をついて、

指先で頬を支えるようにしてリャウカを見下ろしているのは、

リャウカの上官だ。

上官、ノインの顔を、

リャウカは数メートル離れた床からじっと見た。

いつものごとく、この、空調の利いた部屋で

頭からすっぽりと黒い布を羽織っている。

昔イスラムの女性がしていた格好だと聞いたことがある。

顔の半分まで黒い布に覆われていて、

冷たい眼だけが、リャウカの方を見ていた。

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