手のひらの終焉
「あなた、どうしてスクセに近づくの!?」

普段の可憐さは微塵もない強い口調だ。
 
きっと、怒ってるんだろうな。
 
片目を開けてマモウルを見ると、

彼女は怒りに身を震わせているようだった。
 
そのうち、

景色がぐるんと反転したので眼を閉じた。

「近付いてなんかないよ」
 
喋ると、吐き気がこみ上げてきた。

「だって、スクセに運ばれたじゃない。

わざと、スクセの前に倒れたんでしょ」
 
わざと?
 
これが?
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