手のひらの終焉
けれど、その姿はリアルな形を持っていなかった。
 
兄弟が何人いるのかも知らない。
 
自分たち自身のことを、知られたくなくて、

誰もその情報をくれなかったのだ。

「じゃあ、あたしは、凶悪な種族の一人、なんだね。

だからスクセに近付くなんておこがましいと」
 
言われなくても、スクセに近付くつもりなんかなかった。

そりゃあ、初めはスクセに心惹かれた。

けれど、アモーレの抗えない美女パワーに、

今は、何だか捕らわれている。

< 133 / 262 >

この作品をシェア

pagetop