手のひらの終焉
「そうよ。

それに、組織の人間があなたの血縁者だからって、

イズミのことをそうだと思わないで。

あの子は、組織が遺伝子操作して生まれてきた子なのよ。

そういう子は、マークがないの」
 
イズミは、肌の色こそ初めは白かったが、

数週間の砂漠暮らしのせいで、浅黒くなっていた。

それに、髪も眼も、綺麗に輝く漆黒だった。

でも、言われなくたって、

イズミの生い立ちは知っている。

遺伝子操作。

そんな大層なことしなくても、能力者が子供を産めばいいだけだ。

能力にマークがつかなかった唯一の例ではあるけれど、それだけだ。

どうも、マモウルは、リャウカの一家だけを悪党にしたてあげ、

ここに誰一人もリャウカの仲間がいないことを

強調して教えようとしているようだ。
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