手のひらの終焉
流れる涙は仕方がないけれど、

それを嗚咽に変えたくなくて、必死で我慢した。

どのくらいか、そうやって、アモーレの体をぬらしていた。

「ほら、もういいでしょ。

水分がもったいないわ。

よくそんなに溢れ出てくるわね」

言って、両肩を掴んで引き離された。

「いい子だから泣かないのよ。

そうだ、泣き止んだらいいものあげる」

リャウカの涙は現金にもぴたりと止まった。
 
アモーレが何をくれるのか、物凄く気になったのだ。
 
と、
 
アモーレはポケットから何かを取り出した。
 
「ほら、あたしの宝物よ」
 
アモーレはリャウカの手を取って、その手に、何かを握らせた。
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