手のひらの終焉

誘拐

アモーレもリャウカも、ばっと離れて、

声のほうへ走った。

「マモウル!!待て、彼女をどうするつもりだ!」

テントの入り口に回りこむと、誰かが走り去るのが見えた。

「スクセ!」
 
叫んだアモーレの方を見ると、

スクセが血まみれで倒れていた。
 
アモーレをちらりと見ると、彼女もリャウカを見た。

 その眼が、この場は自分ににまかせて行け、と言っていた。
 
リャウカは無言で走り去る人影を追いかけた。
 
右手の中のアモーレからのプレゼントを

ズボンのポケットにねじ込んで、全力で走った。
< 149 / 262 >

この作品をシェア

pagetop