手のひらの終焉
リャウカは、じゅうたんに近づくと、ばっとそれを払いのけた。
 
慌てて撃ってくる様子はない。
 
隙間から中を覗き込んで、影をかぞえた。
 
二つ。
 
銃は構えてない。
 
リャウカは、相手が動かないのを見て取ると、自分から、

テントの中に入って行った。

「こんばんは。軍曹さん」
 
相手が何者かはわからないけれど、リャウカは笑って言った。

「これはこれはリャウカ殿。

我が組織の誇るべきアサシンが、一体何の用かな?」

“我が組織の”?

ここはリャウカのいた組織の一部なのか。

喋った方の男は、テントの奥でどっしりと胡坐をかいて座っていた。
 
深く被った帽子の隙間から、見事な銀髪がこぼれ見えている。
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