手のひらの終焉
「正直言って、私は、組織よりもあなたを敵にまわしたくない」

それは正直な感想だろうと、リャウカは思った。

組織を敵にまわしても、この男の聴覚をもってすれば、

逃げ延びることはたやすいかも知れない。

それよりも、殺人兵器として作り上げられたリャウカを

今敵にまわすほうが怖い。

確実に、死を意味するからだ。

「それじゃあ、話は早い。

マモウルの、あたしたちのところからさらって行った女の子を返して」

銀髪は、黙ってリャウカを眺めた。

「あの子を助けるつもりか?」

「当然でしょう」

「あんたを売った子でもか?」

「へ?」

あんまり突飛なことを言われて、間の抜けた声を出してしまう。

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