手のひらの終焉
地平線の先に何かが見えてきた。
 
そこに視点を切り替えていくと、灰色の建物と、緑が見えた。
 
オアシスだ。
 
ごく狭い地域ではあるけれど、水が豊かなのに違いない。

木が幾つも伸びていて、丈の短い草も生い茂っていた。
 
あんなところに野営しているのか。
 
見えているのに、歩いても歩いても、目標物が近づいて来ない。

苛々して余計に砂に足を取られながら、歩いた。
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