手のひらの終焉
やっと緑が眼前に広がるところまで近づいて、

リャウカは、砂にへたり込んだ。

リャウカは現地に車やヘリなどの輸送機で送り込まれて、

ただ、目的の人間を殺すだけを生業としていた。

だから砂漠を足早に歩くという行為は

どう考えても過酷なものだった。

少し休んで、再び、今度は緊張感を持って歩き出した。

傍へ行ってみても、テントの影はなかった。
 
灰色の、朽ちたコンクリート造りの建物があるだけだ。
 
ということは、あの中にノインやマモウルはいるのか。
 
その建物に焦点を合わせると、かつてはガラスの

嵌っていただろう窓の空洞が幾つも見えた。
< 191 / 262 >

この作品をシェア

pagetop