手のひらの終焉

優美な螺旋の上

足音が、カツンといやにいい音で響く。
 
三階へ続く階段は優美なカーブを描いていて、

木製の手すりがつき、大理石張りの階段の中央には、

赤いじゅうたんが敷き詰められていた。
 
まるで、本で見たことのある、

昔の西洋の城やホテルのような豪奢さだ。
 
それに目を奪われながら歩いていると、

突然上のフロアに男の姿が現われた。
 
手に拳銃を持っている。それも、先に何か付いている。
 
サイレンサーのようだった。
 
自分のアジトで、何で音を消す必要があるんだろう。
 
思っていると、撃ってきた。
 
リャウカは発射された弾を真っ直ぐに見つめた。

時間がゆっくりと流れ出したかのように、

リャウカの目には、弾が描く軌道まで見えた。
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