手のひらの終焉
男はそれを見ると、奇声を上げながら後ずさった。

銀髪の持つ意味を、知っている人間だったのだろう。

組織の人間だから当たり前なのだけれど、

それにしても、凄い怯えようだった。

よほど銀髪の人間に怖い目に合わされているんだろう。

と、あげ続ける奇声に混じって、

「うるさい」

誰かの声がして、男がどっと倒れる音がした。

そして、静かになった。

リャウカは、そっと三階のフロアにたどり着いた。

そこは一面毛足の長いじゅうたんで覆われていた。

広いフロアの先にこちら向きにドアが一つ。

横に窓のある部屋に続くドアが一つ。

フロアの先のドアはこちら側に開いていて、

そのすぐ前に、さっきの男が倒れていた。

胸から血が出ている。

仲間に撃たれたのだ。

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