手のひらの終焉
と、うめき声がして、ベッドの中から銀髪の男が

転がり出て来た。

頭に掛けていたヘッドフォンをむしりとる。

すると、銀髪のかつらまでが取れて、半分ハゲた黒髪が現れた。

男は両耳を押さえて床を転がっていた。

どういう光景なんだろう。

一瞬、訳が分からなかったが、男がごろごろしているうちに、

事情が飲み込めた。

多分、この男は、銀髪の能力者を装っていたのだ。

聴覚が発達したもののフリをして、

部屋のあちこちに集音機を張り巡らしていたのに違いない。

それなのに、リャウカが怒鳴ったから、耳がひどい目に合ったのだ。

バカなヤツ。

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