手のひらの終焉
リャウカはヤる気をなくした。
 
男の首を掻っ捌く代わりに、

ベットの天蓋から釣り下がったカーテンを、ナイフで引き裂いた。
 
入り口に転がってる方の男の傍へ行くと、

リュックを置いてナイフを口にくわえ、

切り取ったカーテンを傷口に押しつけた。

上体を引き上げて、腕が回せるように逸らせると、彼はうめいた。
 
かまわずに、まきつけて、力強く縛っておいた。
 
これで、一刻も早く誰かに見つけてもらえれば、

命は助かるかもしれない。
 
リャウカは彼を見下ろすと、

やっぱりまたいで、ホールを横切った。
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